老後資金 おひとりさまの女性を念頭に。

おひとりさまの老後を考えるうえで,どのような準備をすべきか。費用はいくらかかるのか。
色々なデータを参考に,まとめてみました。

1.老後の生活費はいくら必要か
「健康で文化的な最低限度の生活」に必要な費用(住宅費用を含む)は,奈良県橿原市だとひと月10万5900円とされているようです。
https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/000488808.pdf
生活保護制度の概要について (高齢者単身世帯)

平均寿命が87.14歳ですから,61歳から87歳まで,3431万1600円必要ということになります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-02-06.html
平均寿命と健康寿命

2,医療費はいくら必要か
厚生労働省の資料に,医療の自己負担額を年額で記載したものがありましたので,これを基に計算してみました。
7.5万円 60-64歳  5年間で37.5万円
8.6万円 65-69歳  43万円
7.6万円 70-74歳 38万円
6.8万円 75-79歳 34万円
7.8万円 80-84歳 39万円
8.7万円 85-87歳 26.1万円
合計 217.6万円

https://www.mhlw.go.jp/content/kiso_h30.pdf
一人当たりの医療費自己負担額(年額)

3.介護費用はいくら必要か
健康寿命は,74.79歳。
認知症の平均介護期間は48.91か月。
平均寿命は,先にもあげたとおり87.14歳ですので,13年ほどはだれかのお世話になりつつ暮らし,最後の4年ほどは認知症になり,判断能力自体が衰える可能性があります。

一割負担の場合,利用開始月の介護費用は,平均79,598円 それ以降は,毎月59,598円必要になるようです。
毎月6万円を60か月(多めに5年間で計算)払うとしたら,360万円必要,ということになります。

https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1111.html
公益財団法人生命保険文化センターの資料より

4.おひとりさまの準備としていくら必要か
おひとりさまの終活の法的支援として考えられるのが,次の4つの法的行為です。
(1)見守り・財産管理契約
(2)任意後見契約
(3)死後事務委任契約
(4)遺言作成執行
具体的な内容については,松戸公証役場のサイトが詳しいです。
https://www.matsudo-koshonin.jp/index.html
健康寿命が74.79歳ということですので,70歳になったら,これらの法的制度の利用について検討したほうがいいと思われます。

公証役場に支払う費用は,(1)(2)が,45,000円程度 (3)14,000円程度 (4)額にもよりますが60,000円程度
(1)見守り・財産管理契約の報酬が月2万円程度(2)の任意後見契約の報酬が月3万円程度,(3)死後委任事務の報酬が50万円程度(4)遺言執行者の報酬が50万円程度※
とすると
A:公正証書関係費用 12万円程度
 書類作成支援報酬料 20万円※
B:(1)見守り報酬月2万円(8年分)192万円
 (2)任意後見報酬月3万円(5年分)180万円
 (3)死後委任事務の報酬が50万円
 (4)遺言執行者の報酬が50万円
※報酬については契約内容によります。
AとBの合計 504万円

1から4を10万単位で切り上げ,合計すると4,530万円。
国民年金が年額約78万円で65歳から支給ですから,このうち1794万円は賄えるので,60歳までに貯めておくべきおひとりさまの資金は2,736万円という計算になります。
年金額が120万円ある方でしたら,2760万円賄えるので,貯めておくべき老後資金は,1770万円ということになります。
年金額が200万円あるかたでしたら,65歳から87歳まで23年間で4,600万円ありますので,65歳までの生活費の問題はありますが,計算上は老後資金はクリアしていることになります。

いろいろ不確定要素がある中,とりあえず統計のデータを元に計算してみました。
現役世代は,できるだけ年金額を増やす努力をするのが,安心につながる気がします。